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Channel: 歴史探訪
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杖突峠 

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2015.9.28 杖突峠 

 

大鹿村には塩泉とタケミナカタの伝承とタケミナカタを祀る神社があり、さらにこの村は中央構造線の上にあって「中央構造線博物館」があることも分かったので、時間的にはきつくてもぜひ行ってみたいと思ったのですが、さて、どうやって大鹿村に行こうかと前日に地図をにらんでいて、三河から信州への塩の道である三州街道(伊那街道、飯田街道)と飯田線の通る天竜川沿いの伊那谷や、伊那谷に沿って南に向かう中央自動車道の東側に、これとほぼ平行するように茅野から真っ直ぐに大鹿村に向かう道があることが分かりました。

 

国道152号線となっているその道は、茅野から高遠町を通ってほぼ一直線に大鹿村に向っていたので、この道は谷沿いの古い道で、タケミナカタを祀る旧鹿塩村と諏訪大社を繋いでいた古代の幹線道路だったのではないかと考え、その道を辿ってみることにしました。

 

国道だし、ルート案内では中央自動車道で飯田まで行って大鹿村に向かうのとそれほど時間も変わらないようだと思ったのですが・・・・


実際に行ってみると人家もなく、たま~に対向車が来るとどちらかがバックしてミラーを折りたたんでやっとすれ違うような山道が延々と続き、本当に行けるのかと不安になってくるような道でした<(_ _)>

 

今調べてみたところ、この道は遠州(静岡)からの塩を信州に運ぶ遠信古道(秋葉街道)で、この道も縄文時代からの塩の道だったのだそうです。

 

前日に泊まった標高1000mの八ヶ岳高原を朝食抜きで早朝に発って釜無川まで南に下り、釜無川に沿って20号線を茅野まで遡って、諏訪インターの手前で152号線に入ったのですが、谷沿いの道だろうという予想に反して、この道はいきなりとても急な登り坂になっていました。

 

登るにつれて諏訪盆地が眼下に広がっていくのが見えてきたので、これは地形を見るには絶好の道のようだと喜んだのですが、諏訪湖と盆地を一望できる展望所まで来た時に急に霧が出てきて何も見えなくなってしまいました(T_T)

 

案内板を見て、この予想外だった急な登り坂の山道は「杖突街道」で、展望所があるのは1185mの「峠の茶屋」であることが分かり、なるほどこの急な山道を登るには杖が必要だよねと思いながらしばらく待っていると、少しだけ霧が晴れて諏訪湖と諏訪盆地が見えてきました。

 

まだ実際に諏訪湖を見たことがなかった頃に、地図で諏訪湖の周囲では遺跡や古い神社や古い道がみな800m以上のところにあるのを見て、古代の諏訪湖の湖面は現在よりずっと高い所にあったのではないかと推理したのですが、ここから見下ろしてみて、現在は家で埋め尽くされている諏訪盆地は、やはりかつては諏訪湖だったのだということがはっきりと分かりました(^o^)

 

古代の諏訪湖と石器時代や縄文時代の遺跡が諏訪湖の周辺では900m以上の所にあり、古い神社がみな800m前後のところにある理由については「古代の地形から『記紀』の謎を解く」の第7章の6「古代の諏訪湖」をご参照ください。アマゾンヘ

 

諏訪湖はこの1万年くらいの間にだんだん小さくなって、今は一部を残すだけになってしまっているわけですが、流入河川からの土砂の堆積や、護岸工事などによって諏訪湖の面積は現在も縮小し続けているのだそうです<(_ _)>

 

杖突峠展望所からの諏訪湖と諏訪盆地

 
イメージ 1

イメージ 2

上は茅野市街、下は手前が茅野市と諏訪市、諏訪湖の向こう側が岡谷市で、こちら側の山の麓に沿って諏訪大社上社の前宮(標高800m)、(タケミナカタではなく)ミシャグチ神を78代に渡って祀って来た諏訪大社の神長官・守矢氏の邸跡に建つ「守矢史料館」(780m)、諏訪大社・本宮(780m)、本田善光が建てた諏訪善光寺(810m)などがあります。

 

本宮の西端には「波除鳥居」(770m)が立っていますが、これが「本宮一之鳥居」だそうですから、本来の参道はこちらからであり、この神社が造られた頃には諏訪湖の水際はこの鳥居近くにあって、本宮も前宮も神長官邸も善光寺も、諏訪湖の湖水に面して造られていたわけですが、現在の諏訪湖はこの鳥居から6kmほど先になってしまっているのです。そういえば、史料館の辺りの地名は「中州」でしたよ。

 

諏訪大社本宮一之鳥居・波除鳥居

イメージ 3

 上社の前宮と本宮が離れた場所にある理由や、波除鳥居がここに立っている理由については↓をご参照ください。
 
 

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