Quantcast
Channel: 歴史探訪
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1389

切石の石室と石槨8 関東の石舞台・八幡山古墳の被葬者は誰か?3

$
0
0

2015.8.8 切石の石室と石槨8 関東の石舞台・八幡山古墳の被葬者は誰か?3

 

ヲワケ臣の稲荷山古墳の埋葬施設は竪穴式の粘土郭と礫郭でしたから、横穴式の八幡山古墳より古い形です。史跡の博物館のガイドブックではこの古墳は5世紀後半から末くらいとなっているのですが、この古墳の未盗掘の礫郭から辛亥年(531年)と刻んだ鉄剣が出土したのですから、この古墳が531年以前に造られた古墳であるはずはありませんし、ヲワケ臣がこの地にやって来た武蔵国造の乱は534年だったのですから、この古墳はどんなに早くても534年以降に造られたものでしょう。

 

稲荷山古墳の礫郭(複製)

 
イメージ 1


全長120mという稲荷山古墳の大きさと出土した鉄剣とその銘文から見て、この古墳はヲワケ臣の墓であり、ヲワケ臣はこの地で没したのだと思われますが、531年にはワカタケル王(欽明天皇)の王朝で「杖刀人の首(親衛隊長)」という重職に就いていた人なのですから、さきたまにやって来たのは第一線を退いた晩年のことだったのではないでしょうか。欽明天皇の統一事業への最後のご奉公だったのかな?

 

そして、このヲワケ臣の軍の助力によって笠原直使主(かさはらのあたいおみ)は、同族の笠原直小杵(おき)を滅ぼして南武蔵を統合し、武蔵国の国造になることができたわけですが、このあと武蔵国造の本拠地は埼玉県行田市から多摩川沿いの東京都府中市に移され、7世紀の後半に律令制が施行されると府中に国府が造られていますから、6世紀後半(571585年の間)に行田に造られた八幡山古墳の被葬者は、武蔵国造として北武蔵のさきたま地方を本拠地としていた笠原直使主かその息子であろうと私は思います(^o^)

 

さきたま古墳群の稲荷山古墳の近くには、稲荷山古墳より一回り大きく、現在武蔵国では最大の前方後円墳とされている全長138mの二子山古墳があるのですが、この古墳の後円部径は70mですから、もし八幡山古墳が円墳ではなくここまで推理してきたように前方後円墳の後円部だったとすれば、武蔵国最大の前方後円墳は二子山古墳ではないということになりますね(^o^)。また一つ古代史の常識をひっくり返してしまったかな(^_-)

 

さきたま古墳群

 
イメージ 2


イメージ 3

イメージ 4

稲荷山古墳の左隣にある丸い古墳が、三成が陣取った直径105m・高さ18.9mの丸墓山古墳で、「日本最大の円墳」とされています。

 

これを見て、この古墳群の中でどうしてこれだけが円墳なのだろう?なぜ日本最大の円墳がここにあるのだろう?と疑問に思っていたのですが、ひょっとすると、これも元は前方後円墳で、前方部は三成が石田堤を築くために崩して使ってしまったのかもしれませんね(^_-)

 

もしそうであったなら、武蔵国最大の前方後円墳は後円部径が105mの丸墓山古墳、第2位が80mの八幡山古墳、第3位が70mの二子山古墳だということになりますが・・・・・。

 
 

ところで、自民党議員からまたとんでもない発言が出てきましたね<(__)>。名分はどうあれ、戦争って実際の戦場では相手を殺すか自分が殺されるかということでしょう?「人を殺すのはいやだ、自分が殺されるのもいやだ」というのは「極端に利己的な考え」ではなく、ごくまともな人間としての感情だと私は思うのですが。

 

先日、倉本聡氏が「学童疎開」の回想に「特攻を志願する者、一歩前へ!」という将校の声に、「特攻隊に行く勇気なんかなかったけれど、非難されるのが恐くて前へ出た」とお書きになっていましたが、これが戦時の雰囲気なのですよね<(_ _)>

 

権力者のお先棒を担ぐ議員や学者や作家などによって、ごく普通の考えが非国民だの利己的だのと非難されるような世論や雰囲気が作り出され、普通にものが言えなくなって「万歳!万歳!お国のために立派に死んで来い!」などと心にもない言葉で大切に思う人達を次々に戦争に送り出さなければならなくなっていったのだということが、ドキュメンタリーやドラマを見ているとよく分かります(T_T)

 

それでは、「戦争は嫌だ」という学生たちを「極端に利己的」だと非難したこの議員さんは利己的ではないのでしょうから、お国のために率先して前線に人を殺しに行くのでしょうか?

 

私は絶対にそうはしないだろうと思います。権力者やそのお先棒を担ぐ議員バッジをつけている方々は、紙切れ一枚で人をまるでモノのように戦場に送りますが、自分たちは決して危険な所へは行かないしひもじい思いをすることもないのだということが、ここまで歴史を俯瞰してきてよ~く分かりましたから(^_-)




Viewing all articles
Browse latest Browse all 1389

Trending Articles