2015.10.23 国内最大級のクジラの化石
先日の新聞に「推定全長18m・体重30tの国内最大級のクジラの化石が北海道月形町の533万~360万年前の地層から見つかった」という記事が載っていました。体長12mのカルカロドン・メガロドンよりずっと大きいようで、新種の可能性もあるそうです(^o^)。
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この記事を見て、それでは月形町も533万~360万年前には巨大なクジラやサメの泳ぐ深い海だったに違いないと考え、月形町がどこにあるのか調べてみました(^o^)。
月形町は石狩川の流域で札幌の北東にあり、この辺りでは石狩川は標高10m前後を流れていて川の周辺は広大な水田地帯であり、この平野は標高13m以下のようですから、やはりこの平野は古代には海で、標高から見て古墳時代や奈良時代にもまだ海や湿地だったようです。石狩川はこの海が陸地化していく過程で海までの水路として残ったものでしょう。
この記事には「鯨がいた時代、現在の札幌市や月形町は大部分が遠浅の海で、札幌側では海底火山がたびたび噴火。海は強く酸化し、鯨などが月形側にすみ着いたり、回遊中に立ち寄ったりしていたらしい。」と記されているのですが、この記事は変だと思いませんか(^o^)?
小型の鯨が浅瀬に迷い込んでくるならともかく、体長18m・体重30tもあるクジラが遠浅の海に住みついたり回遊中に立ち寄ったりするはずがないではありませんか(^_-)。水深の浅い所では自分のお腹が海底につかえてしまって泳ぐことなどできませんから、そんな所を回遊するはずはありませんし、時々ニュースで聞くように、クジラが浅瀬に乗り上げてしまったら回遊するどころかそのまま死んでしまいますよね。そもそも18mもある巨大なクジラが遠浅の海に住みついたりするはずはないと私は思うのですが(^_-)。
もしこの記事を読んだ人が、新聞にそう書いてあったのだからそれはすべて事実のはずだと考えて、「533万~360万年前には札幌市や月形町は遠浅の海だったが、当時は巨大なクジラでも月形町の遠浅の海を回遊したり住みついたりしていたと考えてよい」と解釈したらそれは正しいと思いますか?
根拠のない思い込みでも、目的を持った意図的なウソでも、想像でも、願望でも、どんなことでも「書くこと」はできるのですから、『古事記』や「文献」に書いてあることが全て事実であるとは限らないのです。それを何の検証もせずに「○○にはこう書いてある」ということだけを根拠に全て真実だと信じるのは、新聞にそう書いてあったということだけを根拠に「巨大なクジラが浅瀬に住みついていた」と信じるのと同じなのではありませんか(^_-)?
論理的に矛盾だらけであって科学的事実とも矛盾している『古事記』は、不比等が創った(創らせた)「オハナシ(歴史小説や歴史ファンタジーのような神話)」であって「実際の歴史を記した歴史書」ではないのです。オハナシといっても「自分たちは神の子孫である」ということの根拠とするために作られたものであって、庶民に娯楽を提供するために作られたものではありませんが。
ですから、その『古事記』を解釈した本居宣長の『古事記伝』は、『古事記』という古典文学(歴史ファンタジー)の解読書ではあっても「歴史書」ではないのですが、現在の歴史解釈書は全てこの『古事記伝』に準拠して書かれているのだそうです。
というわけでそれらの解釈書は、全て『古事記伝』という「古典文学の解読書」の解釈書であって、実際の歴史やその因果関係を論理的に説明しているものではないのですから、「歴史書」としての意味はないということになりますよね<(_ _)>。