2017.3.1 宇佐神宮30 権力が大好きな宇佐の神様6
八幡宮の総本宮である宇佐神宮の由緒によれば、全国の約11万の神社のうちでは八幡神社が最も多く4万600社あまりあるそうですが、稲荷神社もよく見かけるので、どちらが多いのかな?と調べてみたら、伏見稲荷大社を総本社とする稲荷神社は全国に3万2000社あるそうです。
祖廟としての神社は子孫が祖先を祀るために造ったものですから、全国展開するわけにはいきませんが、お稲荷さん(狐?)は誰の祖先でもありませんから、誰でもどこへでも勧請できたようです(^o^)。そして全国展開していた八幡宮と稲荷神社には、どちらにも総本宮(社)と称するものがあるのですよね。
総本宮(社)と全国の八幡宮や稲荷神社とはフランチャイザーとフランチャイジーの関係なのかもしれませんね。それとも免許を出す家元制度のようなものでしょうか?
祖先を祀ることができるのは子孫(名負いの氏)だけなのですが、祭神が誰の祖先でもないのであれば、子孫でなくても神社を造って祭神を勧請し、神職になれるわけですね(^o^)。「勧請する」って何をどうすることなのか分からないのですが、ひょっとすると本社とフランチャイズ契約を結ぶとか、家元に免許料(名義料)を払うというようなことなのでしょうか?
ところで、伏見稲荷大社は「正一位」という最高位の神階を持っているので、フランチャイジー(?)の稲荷神社は末端の道端の祠までみな「正一位」になっているようですが、それならキツネよりもずっとエラいはずの「カミサマで、ホトケサマで、天皇でもある八幡神」を祀る宇佐神宮の神階は「正一位」よりも上なのかな?「正一位」の上って何だろう?と疑問が湧いてきたので、宇佐神宮の神階を調べてみました。
すると、宇佐の八幡神には天平勝宝元年(749年)12月に一品(いっぽん)の品位(ほんい)が与えられたそうですが、神社の神階は記されていませんでした。品位は皇族に授けられるものであって、神に対して授けられた例は珍しいのだそうですが、神社には「正一位」やそれより上の神階は与えられていないようです。これは、八幡神が応神天皇とは何の関係もなく、宇佐神宮は天皇家の祖廟ではないからなのでしょうね。
もし八幡神が応神天皇であるのなら、キツネを祀る伏見稲荷が「正一位」になっているのに、応神天皇を祀る宇佐神宮が「正一位」になっていないはずはありませんよね(^o^)。
それではなぜ伏見稲荷には「正一位」という最高の位階が与えられているのだろう?と疑問に思ったので調べてみたら、現在の伏見稲荷の場所には、元は天武天皇の皇子の舎人親王の宮と祖廟(現・藤森神社に合祀)があったようだということが分かりました。
藤原氏に協力的だった舎人親王は、若くして次々に藤原氏に殺されてしまった天武天皇の皇子達の中で唯一長生きすることのできた親王で、生前は一品の品位と待遇を与えられ、その死後には「崇道盡敬天皇」の天皇号が追贈されたそうで、その祖廟には「正一位」という最高位の神階が与えられていたのです。
東座に天武天皇と舎人親王を祀る藤森神社本殿
追贈された天皇号