Quantcast
Channel: 歴史探訪
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1389

 穂高神社と安曇野84 安曇族(海人族)22 聖徳太子

$
0
0
2016.9.21 穂高神社と安曇野84 安曇族(海人族)22 聖徳太子
 
日本史には「推古○○年」として歴史が記されているのに推古天皇がいなかったはずがないではないか、ここに書いてあることは「でたらめもでたらめ!!」だというのが『記紀』を信奉する学者さんたちや、圧倒的多数のその学者さんたちの「説」を信奉する方々の見方なのでしょうね(^_-)
 
そういう方々は、「法隆寺の釈迦三尊像は623年に聖徳太子の冥福のため止利が造った」ということは教科書に書いてあるし、釈迦三尊像の光背の銘文にもちゃんと刻まれているし、権威ある肩書きをお持ちの学者さんたちも皆そうだと言っているのに、聖徳太子は架空の人物だなどと書いているのは「でたらめもでたらめ!! でたらめもここまでいけば、誰も騙されない。あきれ返る以前。」(これはアマゾンの「古代の地形から『記紀』の謎を解く」のレビューに「くま」さんという方が投稿されたコメントです)と頭から全否定するようです。
 
でも、そのようにおっしゃる方々のほうが学者さんたちの「説」に騙されているのですよね(^_-)。私は誰かを騙そうなどと考えたことはありませんし、学者さんたちも誰かを騙そうとして「説」を作っているわけではないと思いますが(^_-)、私も初めは学者さんたちのもっともらしい説に騙されました(^o^)。止利仏師が造ったという釈迦三尊像の銘文に「聖徳太子」と刻まれているのであれば、止利仏師の時代に「聖徳太子」とよばれた人が本当に実在していたのかもしれないと。
 
けれど当時の年号は全て干支で記されていて、西暦で記されているものや○○天皇の治世の何年という書き方で記されているものはないのですよね。それに『日本書紀』が記している天皇の名は、死んだ後に付けられた「諡号」であって、生きている時にそう呼ばれていた訳ではありませんし。
 
本当に「623年に聖徳太子のために造った」と銘文に刻んであるのだろうか?と不審に思って銘文の原文を探してみたところ、「聖徳太子」、「太子の母の間人皇后」、「太子の妃の膳部菩岐々美郎女(膳夫人)」という言葉や623年という年号は銘文のどこにも記されておらず、それらはすべて『日本書紀』のウソを元にした学者さんたちの誤った解釈であることが分かりました。
 
銘文に刻まれていたのは「辛巳の年」・「鬼前太后」・「上宮法皇」・「干食王后」という言葉であって、「辛巳の年」を623年、「鬼前太后」を聖徳太子の生母の穴穂部間人皇女、「上宮法皇」を聖徳太子、「干食王后」を太子の妃・膳部菩岐々美郎女(膳夫人)であるとしたのは学者さんたちの解釈であって、銘文に「聖徳太子」という言葉は刻まれていなかったのです。
 
『日本書記』は3人が同時に亡くなったと記しているようですが、銘文には鬼前太后が亡くなったのは辛巳の年の12月で、干食王后が亡くなったのは翌年の221日、上宮法皇が亡くなったのはその翌日の222日だとはっきり刻まれていました。
 
なぜ聖徳太子とその母と妻の3人が同時に死んでしまったのか謎だとして、自殺だったのではないか?流行り病だったのではないか?心中だったのではないか?など、学者さんたちはいろいろな説を立てているようですが、誰一人「定説」に疑問を持ったり、原文に当たってみたりした人はいなかったのでしょうか?銘文には3人は同じ日に死んだのではなく、まず年長の母が亡くなり、その後で上宮法皇が病に倒れ、干食王后はその看病疲れで倒れたとちゃんと記されていましたが(^o^)
 
この一事だけをとってみても、私は「くま」さんのような「定説」以外のものを「でたらめもでたらめ!!」と全否定するような論理性に欠ける歴史の見方より、『時の娘』のジョセフィン・テイの「だから、僕は歴史家には呆れ返るのさ。彼らときたら、一つの事態の納得性ということに関して何にも考えてみようとしないらしい。」という見方の方にずっと共感を覚えるのですけれどね
(^_-)
 
そういえば、ジョセフィン・テイは「おかしなことにあなたが誰かに神話の真相を教えてやるとすると、その人は神話を伝えた人のことは怒らないであなたのことを怒る。誰しも自分の考えていることをひっくり返されるのは嫌なのだ。」とも言っていましたっけ。「くま」さんはきっと神話の真相を伝えた私に怒っているのでしょうね(^_-)
 
漫画の「聖徳太子」
イメージ 1


私はたまたま見たこの表紙の絵に惹かれて、名前と一万円札しか知らなかった「聖徳太子」って本当はどんな人だったのだろう?と興味を持ったのですが、その時はまさか「聖徳太子」は架空の人物だったとか、『記紀』はウソだらけだったとかというような展開になって来るとは夢にも思っていませんでした。




Viewing all articles
Browse latest Browse all 1389

Trending Articles