2016.3.10 池生神社29 神明造の本殿
本宮・秋宮・春宮の宝殿の建物は神明造の古い神社の形を伝えているものだそうですが、中に納められているのは祖霊ではなくお神輿だそうです。やはり本宮も秋宮も春宮も、表向きは祭神としているけれど大祝の祖先ではない「タケミナカタとヤサカトメ」を祀ってはいなかったのですね。それはそれでちゃんとスジが通っているわけですが(^_-)。
神明造は大社造や住吉造と共にもっとも古い神社建築様式とされているそうで、「大社造が正方形に近い宮殿を模したものと考えられ、住吉造が大嘗祭の建物に近似しているのに対し、神明造は奥行きより幅が大きくて高床式倉庫から発展し穀物の代わりに神宝を納めるように変化したと考えられている」そうですから、神社の様式は、簡素な倉庫風の神明造から時代が下るほどに大掛かりで装飾的なものになっていったようですね。
神明造の熊野大社・鑚火殿
大社造りの熊野大社拝殿
上は陽明門ですが、下はよく見たら輪王寺大猷院本殿と書いてありました。どれが神社でどれがお寺なんだろう??
でも、香取神宮・鹿島神宮は間違いなく神社ですよね(^o^)?
香取神宮
鹿島神宮
熊野大社の現在の拝殿や本殿は時代が下ってから造られたものですから、元々の祖廟(本殿)は神明造の鑚火殿だったのではないでしょうか。出雲大社宮司の代替わりの時に「火継式」が行われるのも現在の建物ではなくこの神明造の鑚火殿だそうですし。
「本宮・秋宮・春宮には本殿の代わりに二つの宝殿がある」という説明を見て、神明造の宝殿とはどんなものだったのか見なかったことを悔やんだのですが、認識していなかっただけで私はすでにいくつも見ていたのですね(^_-)。まさに「視覚を真に司るのは知識」のようで、当時は神明造も宝殿も知らなかったので認識できなかったわけですが<(_ _)>、知らずによく似ていると思って見ていた鑚火殿・祈祷殿・勅願殿・大国主命社(宝殿)はみな神明造の社殿だったようです(^_^.)。
こうして並べてみると、神明造の社殿はなんの装飾も無く、簡素で素朴で確かに倉庫のような雰囲気ですが、古代に子孫が祖先を祀っていた祖廟としては最もふさわしいもののような気がします(^o^)。あちこちで見かける小さな石の祠もみな鑚火殿のような形をしていますしね(^_-)。